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従兄弟(いとこ)が相続人の場合の手続きは?司法書士が詳しく解説!

従兄弟(いとこ)が相続人となった相続手続きのケースの解決事例をご紹介します。

そもそも従兄弟(いとこ)は相続人になれるのか、従兄弟(いとこ)が相続人となる場合の注意点なども司法書士が解説します。

似たようなご状況が想定される方はぜひ参考になさってください。

そもそも従兄弟(いとこ)は遺産を相続できるのか?

亡くなった人の遺産は配偶者やお子さんが相続することが多いと思います。

もしも配偶者やお子さんがいない場合は、亡くなった方の親や兄弟姉妹が相続しますが、親がすでに他界していて兄弟姉妹もいない一人っ子のケースでは、血縁者である従兄弟が相続人となることがあります。

しかし、本来従兄弟(いとこ)は相続人ではありません

以下から、詳しく解説します。

従兄弟(いとこ)は相続人ではない

民法において、亡くなった人(被相続人)の遺産を相続する人は以下のとおりに定められています。

第1順位:子供や孫などの直系卑属
第2順位:父母、祖父母などの直系尊属
第3順位:兄弟姉妹

これを法定相続人といいます。なお、配偶者は常に相続人になります

第1順位がいれば配偶者とともに相続人になり、第1順位がいない場合は第2順位と配偶者が相続人になります。

第2順位も不在であれば、第3順位が相続人になります。

上記の通り、従兄弟(いとこ)は相続人の範囲に含まれません。

従って、身寄りのない従兄弟(いとこ)がいる場合、その人の遺産を相続することはできません

血縁があり、ほかに身寄りがないとしても、原則としていとこの財産を相続することはできないことになっています。

法定相続人と相続について詳しくはこちら>>

特別縁故者として申し出れば従兄弟(いとこ)の相続ができることも

身寄りのない従兄弟(いとこ)がいる場合、何もしなければその人の遺産を相続することはできませんが、一定の要件を満たして手続きをすれば遺産をもらうことができます。

相続人がいない人の相続では、身の回りの世話をしていたなどの特別縁故者に遺産を分け与えることが認められています

つまり、特別縁故者として申し出れば従兄弟(いとこ)も遺産をもらうことができます。

特別縁故者として遺産を受けとる方法

相続人がいない人の遺産相続の手続きでは、債権者や受遺者の後で特別縁故者に遺産が与えられます。

特別縁故者が遺産をもらうためには、相続人がいないことが確定してから3か月以内に家庭裁判所に「相続財産分与の申し立て」を行う必要があります

申し立てをすれば誰でも特別縁故者として認められるわけではありません。

特別縁故者にあたるかどうかは家庭裁判所が判断を行いますが、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

  • ・亡くなった人と同一生計にあった人
  • ・亡くなった人の療養看護に努めた人
  • ・前記2項目に準じて特別の縁故があった人

特別縁故者として遺産が受け取れないケース

いとこの特別縁故者として認められるには、同居あるいは生活資金を仕送りするなどして生計を同じくしていたか、療養看護をしていたなどといった事実が必要で、単にいとこであるというだけ特別縁故者として認めてもらうことは難しいです。

また、亡くなった人(被相続人)の遺産を相続する人の順位と範囲は「法定相続人」として決められています。

したがって、法定相続人がいる場合は、その人たちが優先して遺産を相続する権利を持つため、被相続人に法定相続人が存在する場合、特別縁故者としての申立は認められません。

加えて、特別縁故者として財産分与の申し立ては裁判所がその可否を判断します。

特別縁故者として認められた場合でも、被相続人との関係性によっては、すべての相続財産が分与されるわけではなく、一部のみしか相続財産を受け取れない場合もあるため注意が必要です。

従兄弟(いとこ)が遺産を相続するためには遺言書を残してもらう

上記の通り、いとこの遺産は、法定相続人がいないとしても、何もしなければ相続することはできません。

そこで、遺産を取得するための方法として、遺言を残してもらう方法が挙げられます

遺言とは、遺言者(亡くなった方)の最後の思いを表したものです。よって、遺言書に自分の財産についての最後の思いを書き記すことは、当然のこととなります。また、遺言は、財産に関する事柄以外も、自由に遺言に書き記すことができます。

遺言の種類

普通方式の遺言には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります。

自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押すことが必要です。自分で書くことができるため簡易な方法ですが、法定の要件に沿わない遺言は無効になる可能性もありますので、注意が必要です。

また、自筆証書遺言の保管は自分でもできますが、紛失や改ざんの恐れがあります。したがって、自筆証書遺言を法務局へ預ける遺言書保管制度を利用することもおすすめです。

遺言書で遺贈を行う方法は、決まった財産を特定の人に与える「特定遺贈」と、遺贈する財産の割合を定める「包括遺贈」があります。包括遺贈では、債務も財産を取得する割合で継承することになるため、注意が必要です。

自筆証書遺言について詳しくはこちら(法務省のページ)>>

おすすめは公正証書遺言書

公正証書遺言書は、記載や形式の不備を避けられるため、確実な方式といえます

公証人報酬などの費用がかかりますが、いとこの遺産を取得する目的であれば、自筆証書遺言に不備があると取り返しがつかない可能性があるため、公正証書遺言を選ぶ方が無難だと思います。

遺言について詳しくはこちら>>

当事務所の遺言作成サポートについてはこちら>>

従兄弟の遺産をもらうと相続税2割加算

もしも、身寄りのない従兄弟(いとこ)がおり、従兄弟の財産を相続するとなった場合には注意点があります。

従兄弟(いとこ)の遺産を相続する場合、相続税が2割加算されることに注意です。

被相続人の一親等の血族および配偶者以外が財産を受け取った場合、相続税額の2割に相当する金額が加算される決まりがあるからです。

従兄弟(いとこ)は法定相続人ではなく、一等親の血族でも配偶者でもないためこの条件に該当します。

相続税は遺産の額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合に課税されます。

ただし、従兄弟は法定相続人ではないため、あなた以外に相続人がいなければ、遺産のうち3,000万円を超える部分に相続税が課税されます

相続税の申告と納付について詳しくはこちら>>

身寄りのない人の遺産はどこにいく?

亡くなられた方に身寄りがいなかった場合、遺産はどうなるのでしょか?

まずは、以下のステップで相続の手続きが進められます。

1.相続財産管理人の選任
2.債権者・受遺者への支払
3.相続人がいないことの確定
4.特別縁故者に対する分与

これらの手続きを踏まえて、それでも相続人がいなかった場合や遺産が余った場合は、遺産は最終的には国庫に納められます

まとめ

従兄弟(いとこ)は法定相続人として認められないため、財産を相続するには特別縁故者としての申立の準備が必要となります。

さらに、特別縁故者として財産の相続が認められても、従兄弟(いとこ)の財産を相続した場合には相続税が2割加算されることにも注意をしなければなりません。

従兄弟(いとこ)の相続について、気になることや不安なことがある場合は専門家へ相談しましょう。

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この記事を担当した司法書士
司法書士法人 池袋法務事務所 代表 方橋 慶二
保有資格司法書士資格
専門分野相続全般・不動産
経歴2009 立命館大学法学部法律学科卒業
2013 司法書士試験合格
2014 司法書士事務所勤務/司法書士登録/簡易訴訟代理関係業務認定
2015 池袋法務事務所入所
2020 代表就任
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